ラモーンズのパンク
おや、ラモーンズのことをあまりご存知無い？
よろしい。ここで少し彼らを紹介するといたしましょう。
フフフ...
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ラモーンズはパンクバンドでである。それは自他共に認識されていると言って良いだろう。しかし、初めてラモーンズの音楽（特に初期）を聴いたり映像を観たりした人は、たいてい次のように思うのでは。 「なんか安っぽいし、バカっぽいなぁ…。セックス･ピストルズの方がカッコイイや。」 
確かにそう思うのも無理はない気がする。だって変な髪形だし、みんなボロい格好だし、音は安っぽいし、曲もとても単純で演奏もヘタっぴ。おまけにメンバーの名前はみんな「○○○・ラモーン」。ふざけているようにすら感てしまう。でも一寸考えてみて欲しい。それは現在のロックンロールの中に、すでに「パンク」というジャンルが存在するから感じてしまう感想ではないだろうか。ラモーンズが登場した当時、「パンク」というものは世間に広く認識されている音楽ではなかった。少なくともセックスピストルズもグリーンデイもいなかったし、パンクという概念も殆ど認知されていなかった。 1970年代のロックシーンはグラムロックやハードロックやブルースロックなどが中心（T.REX、レッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズ、クリーム、ブラックサバス、KISS、etc...）。 ロックンロールは派手でショー的であったり、技巧的で芸術的であったりした。奇抜で派手な格好をしたバンドが、6分も7分もの曲を演奏し、やたら長いギターソロがあったり、色々な音を複雑に表現したり。 また、70年代といえばディスコブーム。華やかで汗臭くなく女にモテるディスコは、ロックファンと対立傾向にあった。 このご時勢にアメリカでガレージロックやパンクロックが現れた。そしてラモーンズが現れた。彼らは、全く個人的で衝動的で攻撃的なロックンロールを始めた。そして当時のロックンロールが忘れていた初期衝動や今にも踊りだすような興奮を、人々に思い出させたのである。まるで50年代に、テレビ番組でエルビス・プレスリーのステージを見た少年が興奮を抑えきれず、ガレージで滅茶苦茶にギターを弾きながら踊ってしまう、そんなシンプルな興奮である。 その中でもラモーンズは特に分かりやすい存在だったのではないだろうか。彼らのスタイル（音も見た目も含め）は前述の通り。当時の人々は良くも悪くも驚いただろう。彼らのロックンロールはアメリカよりもイギリスで理解され、当時の音楽シーンにパンクロックとして衝撃を与えた。それ以降パンクロックは人々に広く認知され、形を変えながらも現在に至っている。 彼らのパンクは後輩たちに受け継がれた。しかし、彼らはやはり孤高なオリジナル・パンクだったのかも知れない。同期のＮＹパンクや後輩のロンドンパンクとラモーンズが一線を画していたもの、それは「無意味さ」だろう。彼らはロックンロールに政治的主張や芸術性を求めなかった。ただひたすらにでかい音で早く演奏した。「楽しく激しく熱く」で20年以上も全力疾走し続けたのだ。 
安っぽい印象を最初に受けることがあるラモーンズ。しかし、その安っぽさこそが、彼らが何にも頼らず担がれずストイックにロックンロールを愛し、パンクロックを奏でていたことを証明しているのではないだろうか。そして彼らの真髄は、スタジオ録音されたレコードではなく、ライブにあった。その飾り気の無い全力のパフォーマンスには、安っぽさの欠片もない。そして彼らはライブにその存在意義を求めていたかのように、バンドが活動していた22年間で、2263回ものライブを行った（なんと単純計算で1年間に100回以上!!）。 ラモーンズを聞いて「安っぽい」とか「バカっぽい」とか感じたら、それは逆に貴方がもうラモーンズの魅力にハマり始めているのかも知れない… |
